林学部会長ご挨拶

 今回もこの府中キャンパスで林学部会総会を行う事が出来ました。
 お陰様で前回同様大勢の皆様がご参加下さり会長として大変嬉しく思います。
総会を府中キャンパスで行う事は、私の願いでありました。此処には幅広い年代層が
集まっており、社会的地位、立場を捨て心を無に衒う事無く話合える場所は、唯一
このキャンパスであると確信しているからです。
 若者は、外の社会ではとても近寄りがたい先輩に直接触れることが出来ます。生き
字引のような先輩に教えを乞い、且つ学ぶ絶好の機会です。また、年代を重ねた我々
は少々回転の遅くなった頭に、漲る若さとエネルギーを吹き込む事が出来る機会であ
ります。
 私は9月から10月にかけてオーストラリアのケアンズに行って来ました。ある機会
に友人になった現地のご夫妻からの招待です。奥様はシリア生まれでスイス銀行のキ
ャリアをもち、ご主人はスイス生まれでメカのエンジニアである方です。
 伺ったお宅は、広大なプール付きの邸宅でした。私は年金での余生をユックリ楽し
んでおられるのかと思いしや、とんでもない、ご夫妻別々の書斎でそれぞれの趣味を
もち、時間も足りないと言うお二人で大変驚きました。
 奥様は五カ国の言葉を解する方で、細やかな表現を苦手とする私は奥様によくチェ
ックを受けたものでした。判らないで首を傾げていると、私の持って行った電子辞書
を「マシン、マシン」といって開いて教えてくれました。奥様は、英独辞書、英仏
辞書、英アラブ辞書なども、ボロボロになるまで毎日使っていました。
 ご主人はといえば、パイロットの経験もある方で、日本製のパソコン機器に囲まれ
て世界中の情報を記録しておられます。
 私の持っていったデジタルビデオカメラのメモリースチックから、ご自分のCDに取
り込み、色と明るさを調整して写真を作ってくれたり、ルフトハンザーの操縦をシュ
ミレーションして見せてくれたり、私はただ々々驚くばかりでした。

 滞在していたあいだ、食卓にのせられる料理は毎日違っていました。世界各国の料
理を作って食べさせてくれました。それがとても美味しいものばかりでした。

 ある時、私はご主人に訊ねました。「なぜそんなに色々と幅広く学んでいるのか?」
彼は一言「Life is Short」と力強く言いました。

 林学を学び、五つの企業を経験した私は、生きる者の存在、価値を十分に解ってい
るつもりでありましたが、彼に改めて「Life is Short」と聞かされると“まいっ
た”と思いました。

 そうです。命には限りがあるのです。生ある限り学び続けましょう。学ぶことに臆
病にならず、更に前向きに進もうではありませんか。
 短い間でしたが、ご協力有り難うございました。
 林学部会の今後の発展を期待して止みません。